藤原定家

花の香はかをるばかりをゆくへとて風よりつらき夕やみの空 大空は梅のにほひにかすみつつくもりもはてぬ春の夜の月 かきくらす簷端の空に数みえてながめもあへずおつるしら雪 消えわびぬうつろふ人の秋の色に身をこがらしの杜の白露 駒とめて袖うちはらふ影もなしさののわたりの雪のゆふぐれ